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2-19 誰かが見ている 2

last update Last Updated: 2025-10-09 20:05:14

「そういえば、資料室の整理を手伝ってくれた男性ってどんな人だったの?」

不意に真琴から声をかけられ、沙月は顔を上げた。

「あぁ……その人は報道局の顧問弁護士で、霧島という人よ」

するとカレーを食べる真琴の手が止まった。

「霧島? もしかして霧島朔也のこと?」

「えっ……知ってるの?」

「うん、業界じゃちょっと有名だよ。報道対応に強くて、局のコンプライアンスも一手に引き受けてるって。私も一度、研修で名前聞いたことある。確か、大学時代からかなり優秀だったって噂もあったし」

沙月は驚いたように目を見開いた。

「しらなかった……そんな有名な人が、私に声をかけてくれるなんて」

「それって、沙月のことが気がかりだったからじゃない? 噂によると、霧島さんは無駄なことは一切しないタイプだって聞いてるから」

「そうなの? 資料室で偶然会って、手伝ってくれて……すごく優しかったけど」

「それって、見てくれる人はちゃんと沙月のことを見てるってことでしょう? 沙月が真面目に仕事をすれば周りの見る目も変わってくるよ」

「……そうかな」

沙月は少しだけ笑った。

「そうだよ。だから、金曜のパーティーもちゃんと行きな。逃げたら、あいつらの思うツボだよ」

「……うん。ありがとう、真琴」

その夜、沙月は少しだけ心が軽くなった気がした。

****

――翌日

沙月が出勤すると、今日はAD高橋の姿があった。彼は沙月が席に着くとすぐにやってきた。

二人で挨拶を交わすと、高橋は束になった書類を手渡してきた。

「天野さん、昨日はこちらに顔を出せなくて申し訳ございませんでした。本日はこちらのデータの打ち込み作業をお願いします」

「はい、分かりました」

沙月は返事をすると、「それではよろしく」と言って高橋は忙しそうに去って行った。

早速PCの蓋を開けると、沙月は黙々と仕事をこなした。

今日も他の社員たちから声をかけられることも無く……。

(嫌味なことを言われたり、嫌がらせされるくらいなら無視されている方がマシね)

しかし、事件は昼休みに起こった――

****

昼休みのチャイムが鳴り、沙月はPCの蓋を閉じた。

周囲の社員たちは談笑しながら食堂へ向かっていくが、誰も沙月に声をかける者はいない。

沙月は私物を鞄にしまうと立ち上がった。

(……こんなこと、気にしない。昨日、真琴も逃げたら負けだって言ってたし)

そう自分に言
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  • 冷酷御曹司は逃げた妻を愛してやまない   3-29 揺れる心

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